水没した本を波打たせずにまっすぐ元通りに戻す方法として、製本技術者や大学図書館の現場でも応用されているのが「冷凍庫を活用した修復法」です。紙に含まれる水分を凍らせることで繊維の縮みを固定し、氷が昇華(気化)する現象を利用してゆっくり乾燥させます。
用意するものは、吸水性の高いタオル、キッチンペーパー、ジップロック(密閉保存袋)、そして平らな重し(辞書やダンボール板)です。手順は以下の通りです。
まず、乾いたタオルで本の表面全体の水分を優しく押し当てるように拭き取ります。決してこすってはいけません。次に、ページの隙間に数枚おきにキッチンペーパーを挟み込み、上から軽く手で押さえて内部の水分を吸わせます。この段階で完全に乾かす必要はなく、水が滴り落ちない程度になれば十分です。
続いて、本をジップロックに入れ、口を閉めずに開けたままの状態で冷凍庫に立てて入れます。密閉してしまうと湿気の逃げ場がなくなるため、袋の口を開けておくのが重要なポイントです。そのまま24時間〜48時間程度放置して完全に凍結させます。凍結後、冷凍庫から取り出してキッチンペーパーを抜き、厚手の本や板などの重しを上に乗せて室温で自然解凍・乾燥させます。この「凍結+重しプレス」によって、紙が波打つ力を押さえ込み、驚くほどフラットな状態に仕上がります。