ブエナビスタの未実装理由を語る際、長らくファンの間で最大の障壁とされてきたのが「社台グループの版権問題」でした。ブエナビスタは名門一口馬主クラブである有限会社サンデーレーシングの所有馬であり、ノーザンファーム生産馬の筆頭格です。サービス初期においては社台系クラブ馬の実装が極めて慎重であったことから、「サンデーレーシングの規約上、擬人化は不可能なのではないか」という言説が定説のように語られていました。
しかし、近年の動向はこの仮説を完全に覆しています。オルフェーヴルやジェンティルドンナをはじめとするサンデーレーシング所属の歴史的名馬が相次いでウマ娘化を果たし、キャロットクラブ所属馬(ネオユニヴァースの関連やシンボリクリスエス等)や社台レースホース所属馬の許諾も次々とクリアされました。業界関係者の証言や公式発表資料を照らし合わせても、社台系クラブのライセンスが一括して拒絶されている事実はすでに存在しません。
では、なぜ同世代や後輩のクラブ馬が実装される中で、ブエナビスタだけが足踏みを続けているのか。取材を進めると、権利の「可否」ではなく、コンテンツ全体の「投入タイミングと文脈設計」という開発・運営側の高度なIPコントロールが浮き彫りになってきます。