原作者の吾峠呼世晴が描く鬼たちの過去は、常に単なる「勧善懲悪」では終わらない。だが、玉壺に関して言えば、他の上弦の鬼が見せるような哀愁や人間的な情愛が徹底的に削ぎ落とされている。この生理的悪意に振り切った造形こそが、本作を極上のダークファンタジーへと昇華させている要因だ。
さらに、アニメーション制作を手掛けたufotableの映像美が、玉壺の怪異さを異次元のレベルへと引き上げた。壺からぬるりと這い出るヌメリ感、魚の皮膚のグロテスクな光沢、そして血鬼術の鮮やかながらもおぞましい視覚効果。アニメ表現の限界に挑む情熱が、視聴者の脳裏に強いトラウマと強烈なインパクトを植え付けた。