画面越しに見る動画からは伝わりにくいのが、薬物が切れた際に襲いかかる薬物依存症の離脱症状(禁断症状)の地獄のような苦しみです。民間の回復支援施設「ダルク(DARC)」の入所者や、手記・回復プログラムで語られた元依存症者の証言からは、壮絶な現場の現実が浮かび上がります。
ある元覚醒剤使用者は、当時の特番インタビューや自著の手記の中で次のように告白しています。
「薬物が切れると、全身の骨が内側から砕かれるような激痛が走り、皮膚の下を無数の虫が這い回る感覚(蟻走感)に襲われる。幻聴が『お前は狙われている、飛び降りろ』と24時間休まず耳元で叫び続け、最後は恐怖から逃れるためだけに再び針を刺してしまう。人間としての尊厳や家族への愛情など、脳の回路から完全に消え去っていた」
また、海外のヘロイン・フェンタニル依存症者の手記でも、激しい悪寒、嘔吐、下痢、全身の筋肉痙攣が何日も続き、水一杯すら飲めない脱水状態のなかで激痛にのたうち回る様子が克明に記されています。薬物中毒者の末路は、逮捕や路上生活だけではありません。身体と精神が完全に破壊され、最愛の家族や人間関係をすべて焼き尽くした末の孤独な死という過酷な代償が待ち受けています。