当時、黄金のマスクの輸送と展示には、国家レベルの厳重なセキュリティが敷かれた。日本通運による特別輸送チームが編成され、羽田空港から博物館までのルートは極秘とされた。万が一の事態に備え、武装した警察官が護衛にあたるという、美術品の輸送としては前代未聞の厳戒態勢だった。
現在、ツタンカーメンの黄金のマスクは、カイロ近郊に建設された大エジプト博物館(GEM)に収蔵されており、原則としてエジプト国外への持ち出しは禁止されている。つまり、私たちが日本国内で本物のマスクを見る機会は二度と訪れない可能性が極めて高い。この「もう二度と見られない」という事実が、1965年の体験をさらに神話化させている。