競馬ファンの間で古くから格言のように語り継がれる「初ブリンカーは買い」というセオリー。実際に過去数年のJRA全レースを母数にした統計検証を行うと、興味深い冷徹な現実が浮かび上がってきます。
初ブリンカーを装着した全頭を対象にした場合、勝率は約6〜7%、複勝率は約18〜20%前後に収束し、単勝回収率も概ね70〜75%程度と、実は全体平均と大きく乖離していません。つまり「Bマークが付いた馬を無作為に買い続ける」だけでは、現代競馬において確実に資金をすり減らすことになります。
しかし、条件をピンポイントに絞り込んだ瞬間、その回収率は跳ね上がります。破壊的なオッズ妙味を生み出す「激走の黄金パターン」は明確に存在します。
第一の狙い目は「ダートの短距離戦(1000m〜1400m)」です。
芝の中長距離戦とは異なり、ダート短距離はスタート直後からのダッシュ力とポジション争いが勝敗の7割を決定づけます。初ブリンカーによって行き脚がついた馬は、前走の行きっぷりが嘘のようにハナ(逃げ)や番手を取り切ることができ、そのまま砂を被らず押し切るケースが頻発します。特に「前走芝で大敗→ダート短距離替わり+初ブリンカー」という複合ショック療法を受けた人気薄は、単勝回収率が120%を超えるホットゾーンを形成します。
第二の狙い目は「前走4角5番手以内から失速した馬の巻き返し」です。
道中でいいポジションにいながら、直線で追われてからフワフワして失速したタイプは、能力不足ではなく単純な集中力切れが敗因であるケースが多々あります。この手のタイプにブリンカーを噛ませると、最後まで脚を使い切って粘り込みを図るため、配当妙味十分の好走パターンへと繋がります。
見落とされがちなのが「ブリンカー再装着(再B)」の妙味です。一度装着して効果が薄れたために外し、何走か経てから再び装着するパターンを指します。競馬新聞の表記上は目立たないものの、馬がブリンカーの窮屈さを忘れた頃に再投与されることで、初装着時に匹敵する強烈なリフレッシュ効果を発揮することがあります。過去にブリンカー着用下で好走歴のある実績馬が「久々の再装着」を果たした際は、単勝オッズの盲点になりやすく絶好の狙い目となります。