映像配信プラットフォームの爆発的な普及は、国内外の旅行者のまなざしをかつてないほど多角化させた。Netflixの高解像度なトラベル・自然ドキュメンタリー番組では、富士山麓の青木ヶ原樹海がたたえる神秘的な生態系や、伊豆大島の裏砂漠が醸し出す異世界のような荒涼感が、シネマティックな映像美で世界中へ配信されている。
個人のクリエイターたちがYouTubeに投稿する臨場感あふれるソロキャンプやトレッキングのVlogもまた、既存の観光ガイドブックを完全に無効化しつつある。観光名所の記念撮影ではなく、鳥のさえずりや風に揺れるブナの葉擦れの音、早朝の澄んだ空気感そのものを追体験したいという欲求。映像を通じて解像度の上がった旅人たちは、自分だけの静寂を求め、より深く、より思索的な旅へと足を踏み入れている。