「エロマンガ」という強烈なインパクトを与える名称ですが、当然ながら日本の漫画文化や成人向けコンテンツとは何の関連もありません。この名称が世界に定着した経緯には、大航海時代における言語のすれ違い(空耳)にまつわる歴史的なエピソードが存在します。
1774年、イギリスの探検家ジェームズ・クック(キャプテン・クック)が第2回航海の途上でこの島に上陸しました。当時の航海記録や現地に伝わる伝承によると、上陸したクック船長一行に対して、島民がヤム芋などの食料を差し出しながら、現地の言葉(Sye語など)で「Armango(これを食べなさい/良い食べ物)」と声をかけたとされています。
これを聞いたクック船長が、「この土地の名を名乗っている」と勘違いして海図に「Erromanga」と記録したことが、世界地図にこの名前が刻まれる直接の引き金となりました。つまり、純粋な歓待の言葉が聞き間違いによって地名化されたという、言語学的に興味深い偶然の産物です。
なお、現地のビスラマ語や英語での標準的な発音は「エロマンゴ(Erromango)」に近く、日本の外務省や地理学会の資料でも「エロマンゴ島」と表記されるケースが増えています。しかし、歴史的文献や英語圏の旧綴り(Eromanga)をそのままカタカナ転写した結果、「エロマンガ島」というセンセーショナルな表記が日本国内で定着しました。