だが、意識が戻ったからといって試練が終わったわけではない。むしろ、本当の闘いはそこから始まった。長期間にわたる先進医療と専門的なリハビリテーション、そして24時間体制の看護。積み上がる医療費と介護費用は、容赦なく二人の経済基盤を締め上げた。
二人は苦渋の決断を迫られる。長年住み慣れた都内の自宅を売却し、治療費と今後の生活資金に充てることを選んだのだ。一部の週刊誌では「破産」「極貧生活」と煽り立てるような報道もなされた。しかし、彼らにとって家や財産などは、命と比べれば取るに足らないものだった。ただ妻に生きてもらう、その一心での選択だったのである。