釣船茶屋ざうお小牧店が営業を終了した背景には、単なる一時的な客足の減少にとどまらない、エンタメ型飲食店特有の構造的課題が存在していました。関係者の証言や当時の外食産業の財務データを照らし合わせると、主に3つの要因が複合的に絡み合っていたことが浮き彫りになります。
第一の要因は、団体・宴会需要の構造的な激変です。小牧店はロードサイドの大型旗艦店として、企業の歓送迎会やPTA・地域コミュニティの集まりなど、20名から50名規模の団体利用に大きく依存する客席設計となっていました。感染症拡大に伴う宴会自粛の長期化により、高単価な大型宴会売上が完全に蒸発し、週末のファミリー客のみで平日の固定費を回収することが困難な状況に追い込まれました。
第二の要因は、特殊設備の維持管理費(ランニングコスト)と光熱水費の急騰です。ざうおのビジネスモデルは、店内に張り巡らされた巨大水槽の水質管理、24時間の循環濾過装置、水温維持のための莫大な電力消費を前提としています。さらに、活魚の仕入れ価格や運送コストの高騰が重なり、小牧店のような延床面積の広い郊外型店舗ほど損益分岐点が跳ね上がる構造となっていました。
第三に、建物の賃貸借契約満了と設備老朽化のタイミングが挙げられます。オープンから年月が経過し、木造船を模した客席や生簀の配管系統など、抜本的な改修工事には数千万円単位の設備投資が必要な局面を迎えていました。運営会社である株式会社ハーバーハウスとしては、資本を集中させるべく、投資対効果の観点から契約満了に伴う完全閉店を選択したというのが業界関係者の一致した見立てです。