実際のビジネス現場や家庭内では、どのような形で対話が破壊されているのか。匿名インタビューや相談事例から浮かび上がる現場の生々しい証言を検証します。
都内のIT企業に勤務する30代ディレクターは、上司との定例進捗ミーティングでの消耗を次のように吐露しています。
「システム障害の再発防止策について話しているのに、上司は『君の報告メールの文面が冷たいからチームの空気が悪くなる』と突然言い出しました。障害の技術的要因から完全に私の人格批判へすり替えられ、2時間の会議が終わる頃にはなぜか私が謝罪文を書く羽目になっていました。まさに会話のキャッチボールではなく、一方的に剛速球を投げつけられるドッジボールです」
また、家庭問題カウンセラーへの取材によると、夫婦間での家事・育児分担の話し合いにおいても、「ゴミ出しの頻度」の相談が「君はいつも僕の実家を軽視している」という全く別の感情的対立にすり替えられ、議論が泥沼化するケースが頻発しています。問題の焦点が次々と移り変わるため、双方が疲弊し切って根本的な解決策に一生到達できない悪循環が生じているのです。