うつ病の嘘は見抜ける?精神科医が明かす詐病の兆候と現場の対応策

うつ病の嘘は見抜ける?精神科医が明かす詐病の兆候と現場の対応策

うつ病の嘘は見抜ける?精神科医が明かす詐病の兆候と現場の対応策とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を整理してお届けします。

職場で「あの人は仮病ではないか」と疑われるケースの大半は、いわゆる「新型うつ病(医学的には非定型うつ病の病態を一部含む適応障害や気分変調症など)」の症状に対する誤解から生じています。従来の典型的なうつ病は、仕事でもプライベートでも一貫して気分が沈み込み、自責の念に苛まれる特徴があります。これに対し、職場で問題視されやすいタイプは、会社に行こうとすると激しい頭痛や抑うつ感に襲われるものの、終業後や休日、趣味の場では別人のように活動的になるという「気分反応性」を示します。

同僚から見れば「仕事のときだけ鬱になり、遊ぶときは元気なんて単なる甘えだ」「都合の良い嘘をついている」と映るのは無理もありません。新型うつ病と甘えの決定的な違いは、本人がその行動パターンを意図的にコントロールできているかどうかにあります。単なるサボりや仮病は、仕事をサボる明確な意図を持ち、裏では自己正当化や打算が働いています。一方、非定型な病態にある患者は、ストレス耐性の脆弱性や未熟なコーピング(対処行動)により、特定の負荷がかかる環境に対して心身が過剰に拒絶反応を起こしており、本人もその適応不全に強い苦悩を抱えているケースが少なくありません。

外見上の振る舞いが酷似しているからこそ、職場が素人判断で「甘え」「嘘」と決めつける行為は、真剣な治療が必要な適応障害を見落とすリスクと、本当に制度を悪用している詐病を見過ごすリスクの双方を抱えることになります。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。