台風の接近時、本当に警戒すべきは暴風や高潮だけではない。台風本体から数百キロ離れた遠隔地で突発的に発生する「線状降水帯」による集中豪雨こそが、近年の気象災害における最大の脅威となっている。南からの極めて湿った暖かな空気が前線や地形とぶつかり合うことで、局地的に数時間にわたり猛烈な雨が降り注ぎ、一瞬にして河川の氾濫や土砂崩れを引き起こす。
気象庁は2026年から、線状降水帯の発生予測情報をさらに細分化し、半日前から市町村単位での警戒を呼びかけるシステムを強化した。台風の進行速度が遅い場合、同一地域で長時間の雨が降り続く危険性が格段に高まるため、「まだ暴風域に入っていないから大丈夫」という油断が命取りになる。