豊洲および有明エリアにおける地価の上昇速度は、都内でも異彩を放っている。国土交通省の公示地価データを紐解くと、住宅地の取引坪単価は直近数年で急激な跳ね上がりを見せた。しかし、この数字の背景には単純な人気上昇だけでは説明しきれない市場の歪みが存在する。海外ファンドや富裕層による投機買いが価格を吊り上げる一方で、地元住民の生活実感にはズレが生じているのだ。
住みやすさの評価も二極化している。タワーマンション内の充実した共用施設や、先進的な防災設備は間違いなく高評価を得ている。一方で、急速な人口流入に伴う認可保育園の不足や、朝夕のラッシュ時における交通網のボトルネックは依然として深刻な課題だ。「利便性と引き換えにコミュニティの希薄化が進んでいる」と漏らす古くからの住民の声も少なくない。華やかな再開発の影で、住環境の実質的なクオリティが試されている。