視覚的なスタイルとしてアイコン化されてきたのが、いわゆる「サブカル系」と呼ばれる若者たちの装いです。時代ごとに記号はアップデートされつつも、根本にある「マスへの同調拒絶」は共通しています。
サブカル系女子の特徴としては、重めのボブや個性的なインナーカラー、黒縁や丸型のメタルフレームメガネ、だぼっとしたオーバーサイズのバンドTシャツや古着のワンピースが定番として挙げられてきました。かつてはヴィヴィアン・ウエストウッドなどのデザイナーズブランドを好む層や、あえて無機質なフィルムカメラを首から提げる姿が目立ちましたが、近年はそこに「90年代裏原宿」や「2000年代初期のY2K」を独自解釈したミックススタイルへと進化を遂げています。
対するサブカル系男子のファッションもまた、明確なコードを持ちます。古着屋で見つけた70〜80年代の柄シャツにワイドなスラックス、足元にはドクターマーチンや履き潰したコンバースを合わせるスタイルが代表格です。流行のハイブランドロゴを誇示するのではなく、「タグが切り取られた正体不明のヴィンテージ」に価値を見出すのが特徴であり、文庫本を一冊トートバッグに忍ばせているような佇まいが好まれます。
こうした人々を惹きつけてやまない街が、サブカルの聖地である下北沢です。小田急線の地下化に伴い、「reload(リロード)」や「BONUS TRACK(ボーナストラック)」といった洗練された商業スペースが誕生したことで、「下北沢の雑多なカルチャーは死んだ」と嘆く声も一部で上がりました。しかし、現場の路地裏を歩けばその見解が早計であると分かります。新旧のミニシアター「下北沢トリウッド」や老舗ライブハウス「下北沢SHELTER」の周辺には、今もスマートフォンの通知を気にせずインディペンデントな表現に没頭する若者たちが群れをなしています。
この街を育んできたサブカル音楽の特徴は、メジャーなJ-POPが追究する完璧なタイアップ性やストリーミング向けキャッチーさとは一線を画す、歪んだギターサウンド(オルタナティヴ・ロック)や、内省的で叙情的な日本語詞、さらには自宅で録音されたようなローファイ・ポップの肌触りにあります。「完璧に調和した商業音楽」よりも、「少し不器用で剥き出しの感情」を愛する感性が、下北沢という土壌には色濃く根付いています。