いま西天満の名店と呼ばれる店で、あらかじめカットされた肉を仕入れているところはほぼ皆無だ。毎朝届く丸鶏を店主自らが捌き、筋膜の走り方や脂の乗り具合を見極めながら串を打つ。これが絶対条件となっている。
抱き身(胸肉を皮で包んだもの)ひとつ取っても、皮のパリッとしたクリスピー感と、中のレアに近いジューシーさを共存させる技術は圧巻だ。ソリレス、ふりそで、ちょうちんといった希少部位の扱いも極めて論理的。どの角度で炭に近づけ、どの秒数で裏返すか。2026年の焼き鳥職人たちは、職人技という曖昧な言葉に逃げず、熱力学に近い精密さで串に向き合っている。