元来、「羂索」とは不空羂索観音などが手に持つ、あらゆる衆生を縛り上げてでも救い出すための縄を指す仏教用語だ。救済の象徴であるはずの言葉が、なぜこれほど残酷な怪物の名として冠されているのか。
ここに作者の卓越したメタファーが光る。彼が目指す「人類と天元と同化による強制的な進化」は、彼独自の倒錯した救済観に他ならない。慈愛の縄で縛り上げるのではなく、混沌の渦へ全人類を突き落とすことで新たな可能性を切り拓こうとする姿勢。この皮肉めいた仏教的背景が、海外のファンや研究者の探求心を刺激してやまない理由だ。