『サマータイムレコード』の歌詞を読み解くうえで最大の鍵となるのが、「語り手が置かれている時間軸」と「記憶の喪失」という設定です。本楽曲は、カゲロウデイズの悲劇的なループを完全に打破した後の「8月16日以降の世界」を描いています。
冒頭の「昨日も今日も平凡で 崩れそうになる日々」というフレーズは、命懸けの戦いや超常的な「目」の能力に満ちていた異常な夏が終わり、退屈で残酷なほど普通の日常が戻ってきたことを示唆しています。メカクシ団の少年少女たちは、ループを終わらせる代償として、非日常の記憶や特殊能力を少しずつ忘却していく運命を受け入れました。
サビで繰り返される「秘密基地に集まって 笑い合った夏の日に」という回想は、単なるノスタルジーではありません。歌詞中にある「『また何処かで思い出して出逢えるかな』と 僕らは歌おう」という誓いこそが、じん氏が楽曲に込めた真意です。たとえ脳裏から鮮明な出来事が薄れ、大人になってバラバラの道を歩むことになろうとも、心を通わせたという魂の刻印(レコード)だけは決して消えないという、祈りにも似た確信が表現されています。