結城哲也を語る上で欠かせないもう一つの要素が、青道高校へ後を追うように進学してきた実弟・結城将司との関係性です。
兄・哲也が静かに闘志を燃やすタイプであるのに対し、弟・将司は豪快なフルスイングで三振かホームランかという極端なプレースタイルを持ちます。しかし、将司の規格外のスイングの根底には、幼少期から兄・哲也の徹底的な素振りを間近で見続け、「兄のようになりたい」と憧れ続けた純粋な敬意がありました。哲也は弟に対して過度なアドバイスをせず、自らの練習風景を見せることで道を指し示しました。
また、作中で結城哲也の趣味として頻繁に登場するのが「将棋」のエピソードです。部室や合宿所で伊佐敷純や御幸一也、さらには片岡監督と盤を挟むシーンが描かれます。
将棋で培われた「数手先を読む思考力」や「不利な局面でも焦らず相手の隙を突く勝負勘」は、そのまま結城のバッティングにおける配球の読みやメンタルの強さに直結しています。一見すると豪快なスラッガーでありながら、内面には極めて緻密な戦略眼を秘めているギャップこそ、彼の底知れない凄みとなっています。