事件発生直後、歌舞伎座や明治座の周辺は、公演の中止や代役対応に追われ、前代未聞の混乱に包まれました。あれから時間が経過した2026年の現在、梨園関係者や長年の歌舞伎ファンの間では、どのような感情が渦巻いているのでしょうか。
劇場に足繁く通うコアな観客層やSNS、知恵袋などのコミュニティを検証すると、反応は大きく「二極化」しています。
一方には、「どれほど卓越した才能があったとしても、両親の命を奪う手助けをした事実は消えない」「ハラスメント被害者の告発を心中という極端な行為で封殺しようとしたのではないか」という厳しい批判の声が根強く存在します。とりわけ一般層やスポンサー企業の間では、コンプライアンス順守の要請が年々厳格化しており、忌避感は決して薄れていません。
しかしその一方で、伝統芸能の継承を案じるオールドファンからは異なる声も聞かれます。「四代目猿之助が作り上げた『ワンピース歌舞伎』などの革新的な演出力は唯一無二だった」「罪を償った後、演出家や裏方としてでも歌舞伎に関わってほしい」という、芸術的才能の喪失を惜しむ意見も無視できない割合を占めています。
松竹関係者の証言によると、「事件直後はパニック一色だったが、澤瀉屋の若い弟子たちを守るため、関係者は必死で前を向いてきた」と語られています。事件の爪痕はあまりにも深く、単純な善悪二元論では片付けられない葛藤が今なお関係者の胸中に残り続けています。