陳建一と料理の鉄人|最多登板の裏にあった苦悩と名勝負の真実

陳建一と料理の鉄人|最多登板の裏にあった苦悩と名勝負の真実

陳建一と料理の鉄人|最多登板の裏にあった苦悩と名勝負の真実にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

最多勝利を誇る陳建一氏ですが、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。特に番組開始から最初の1年間は、歴代鉄人の中で最も敗戦が多く、「負け越しの鉄人」と揶揄されるほどの苦境に立たされていました。

陳建一氏の経歴を語る上で外せないのが、実父である陳建民氏の存在です。建民氏は、日本に四川料理を伝え、本場の味を日本人の舌に合うようアレンジしてエビのチリソースや麻婆豆腐を家庭に定着させた偉人です。陳建一氏はその長男として「赤坂四川飯店」を継承していたため、テレビの真剣勝負で負けることは「父の名声と店の信用に泥を塗る」ことを意味していました。

当時のインタビューや自著の手記において、陳氏は「毎週収録の前夜はプレッシャーで胃が痛み、一睡もできなかった」「負けた放送の翌朝、赤坂四川飯店の暖簾をくぐるのが本当に怖かった」と吐露しています。特に中華の重鎮や同業他社の挑戦者に敗れた際は、厨房のスタッフや顧客からの視線に耐えかね、一時は番組降板を真剣に考えたこともあったと明かされています。

しかし、陳氏は逃げ出さずに敗戦の分析を徹底しました。中華料理は本来、長時間の仕込みやスープの抽出を前提とすることが多いジャンルですが、1時間という極限の制限時間の中でいかに中華の技法を再構築するかを研究。炎の火力を最大限に活かし、即興で旨味を引き出す調理法を確立したことで、1995年以降は前人未到の19連勝を記録するなど、名実ともに最強の鉄人へと覚醒していきました。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。