インターネット上の掲示板やSNSでは、日中の言語関係についていくつかの根強い都市伝説や誤解が流布しています。リスクを避けるために代表的な誤謬を是正しておきます。
第一の誤解は、「漢字が共通しているため、いざとなれば筆談だけで完璧に意思疎通できる」という言説です。旅先での簡易的な道案内程度であれば漢字の筆談は機能しますが、前述の同形異義語や簡体字の省略パターンの違い、さらには文末表現のニュアンスの違いによって、契約交渉やトラブル処理の場では致命的な食い違いを誘発します。「筆談はあくまで緊急時の補助手段」と割り切るのが賢明です。
第二の誤解は、「中国語は方言差が激しすぎて標準語(普通話)を学んでも現地で通じない」という極端な意見です。確かに広東語や上海語、福建語などは発音も語彙も普通話と大きく異なり、方言話者同士でも会話が成立しないケースがあります。しかし、現代の中華圏では国家政策による教育の徹底とメディアの普及により、中国本土、台湾、世界各地の中華街に至るまで、公用語である普通話が確実に通用します。標準的なピンインと普通話を身につければ、14億人以上の話者市場にアクセスすることが可能です。