八百彦本店のルーツは、八代将軍・徳川吉宗の治世である享保五年にまで遡る。尾張藩の御用商人や寺社仏閣の式典において、数々の重要な宴席を彩ってきた歴史を持つ。単に空腹を満たす食事ではなく、格式ある場にふさわしい日本料理の真髄を極め続けてきた誇りがそこにある。
江戸の昔から培われた仕出し料理のノウハウは、冷めてもなお輪郭がぼやけない味付けの妙技へと昇華された。出汁をしっかりと含ませた煮染め、素材本来の旨味を凝縮させた焼き物。時間の経過をも計算に入れた調理技術の蓄積こそが、正月三が日を通じて美味しさを保ち続けるおせち料理の強固な土台となっている。