スターバックス コーヒー TSUTAYA 横浜みなとみらい店は、2011年9月、みなとみらいグランドセントラルタワーのグランドオープンとともに旗艦テナントとして華々しく誕生しました。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手がける「TSUTAYA BOOKSTORE」とスターバックスが融合した「Book & Café」スタイルは、当時の横浜エリアにおいて先駆的なカルチャースポットとして絶大な支持を集めたのです。
しかし、オープンから約10年を迎えた2021年1月、多くのファンに衝撃を与えながらその歴史に幕を下ろしました。公式発表資料や当時の商業登記・不動産契約の通例を分析すると、撤退の背景には大きく分けて3つの構造的要因が存在します。
第1の要因は、約10年の定期建物賃貸借契約の満了期を迎えたことです。商業ビルの大型区画では10年契約がひとつの標準サイクルとなっており、更新時に賃料条件の見直しや大規模改装の必要性が協議されます。
第2の要因は、親会社であるCCCによる事業ポートフォリオの大規模なスクラップ&ビルドです。2010年代後半から急速に進んだ電子書籍の普及やオンライン書店の伸長に伴い、同社は従来の「大規模物販型書店」から「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」を中心とする体験課金型・時間課金型モデルへと舵を切り始めていました。
第3の要因として、2020年から世界を覆った生活様式の激変が決定打となりました。みなとみらいのオフィス街から出社人員が一時的に激減し、平日昼間のカフェ需要や雑誌・専門書のついで買い需要が急速に冷え込んだ時期と重なったことが、契約更新を見送る強力な引き金となったのです。