物語は、ロサンゼルスに住む高校生ジューンが、コロンビアへ旅行に出かけたきり戻らない母親グレイスの行方を追うところから始まる。空港へ迎えに行くも、現れない母。国境の壁、現地の警察による遅々とした対応、遠く離れた場所から娘ができることは限られているように思えた。しかし、彼女は諦めない。
ジューン役を演じたストーム・リードの鬼気迫る表情が、MacBookのインカメラ越しに観客を呑み込む。彼女は持ち前のデジタルスキルを駆使し、母のGoogleアカウントや位置情報履歴、現地のライブカメラ、果てはメッセージアプリの履歴まで次々とアンロックしていく。画面上で繰り広げられるハッキングすれすれの調査は、従来の刑事ドラマを遥かに凌ぐスピード感で展開する。
だが、アクセス権を得るたびに浮かび上がってくるのは、自分が信じていた「優しい母親」の姿とはかけ離れた、見知らぬ女性の輪郭だった。母親に付き添っていた恋人ケヴィンの怪しい素性、偽名、不可解な送金履歴。クリックひとつで暴かれる過去の断片が、観客の心臓を激しく揺さぶる。