矢沢永吉の代名詞であるマイクターンですが、そのルーツはキャロル時代のアクションおよびソロ初期のステージにさかのぼります。かつて音楽番組のインタビューや自著関連の回想で明かされたエピソードによると、最初から計算された振り付けとして開発されたわけではありませんでした。
ライブハウスの狭いステージで激しい演奏を繰り広げていた当時、コードが足に絡まったり、スタンドに足が引っかかって倒れそうになった瞬間がありました。その際、倒れるスタンドを瞬時に蹴り戻して手元でキャッチしたところ、客席から割れんばかりの歓声が上がったといいます。「ミスを瞬時に最高のエンターテインメントへと昇華させる」という矢沢永吉ならではの反射神経とパフォーマーとしての嗅覚が、マイクターン誕生の決定打となりました。
1977年の日本武道館単独公演をはじめ、ソロキャリアの黄金期を通じてこの技は急速に洗練されていきました。荒々しい足技から、手首のスナップと遠心力を完璧にコントロールする芸術的パフォーマンスへと昇華し、矢沢永吉のライブにおける定番パフォーマンスとして不動の地位を確立したのです。