ホールの真価は、実際の座席に座ったときの視覚的・聴覚的体験にあります。現地調査と実際の鑑賞者の声を総合すると、エリアごとに以下のような特徴が浮き彫りになります。
【大ホール 1階席の前方(1〜7列目)】
舞台との距離が極めて近く、演者の息遣いや指先のタッチ、表情の機微まで鮮明に捉えられます。ただし、前方の傾斜は緩やかなため、最前列付近では舞台床面の奥が見えにくくなる場合があります。バレエや群舞など舞台全体のフォーメーションを俯瞰したい演目よりも、単独のリサイタルや演劇の迫力を堪能したいシチュエーションに向いています。
【大ホール 1階席の中央〜後方(8〜24列目)】
音響・視界ともに「最もバランスが取れている」と評されるのが、センターブロックの10〜16列目付近です。通路を挟んだ13列目以降は傾斜がしっかりと付いており、前列の観客の頭部が視界を遮ることがほとんどありません。舞台全体が見渡せる上、直接音とホール全体の豊かな間接音が綺麗に混ざり合って耳に届きます。
【大ホール 2階席およびバルコニー席】
2階席は高い位置から舞台全体を美しく見下ろすことができます。オーケストラの楽器配置や舞台照明の演出効果を立体的に味わうには最適のポジションです。音響面でも天井からの反響を豊かに受け止められるため、クラシックファンの中にはあえて2階席前方を選ぶ人も少なくありません。
音響設計に関しては、内装に木素材を贅沢に配し、残響時間約1.8秒〜2.0秒(満席時でも約1.6秒)という上質な響きをキープしています。「音が濁らずにクリアに伸びる」「ピアニッシモの消え際まで美しく響く」という定評があり、国内外のトップソリストがレコーディングや単独公演に指名する理由がここにあります。