なぜトライアルはここまで決済とハードウェアの融合に固執するのか。その中核にあるのが、流通構造全体の刷新を掲げる「リテールAIプロジェクト」だ。
株式会社トライアルカンパニーの代表取締役社長を務める亀田晃一氏は、テクノロジーを単なる効率化の手段ではなく、ディスカウントスーパーの生存戦略そのものと位置づける。店内に張り巡らされた無数のAIカメラとスマートカートが連動し、欠品検知から顧客の購買動向分析までを瞬時にデジタル化する。誰が、どの棚の前で立ち止まり、どの決済手段を選んだのか。膨大なデータがリアルタイムでサプライチェーンへフィードバックされる。
決済とは単なる代金回収の出口ではない。顧客理解を深め、需要予測を極限まで研ぎ澄ますための最も重要なインプット装置なのだ。不要な在庫を抱えず、レジ人件費を圧縮する。その結果生まれた余力が、競合他社が追随できない価格破壊力へと直結している。