1969年、フジテレビ系列でTVアニメの放送がスタートした。制作を担当した株式会社エイケン(旧TCJ)は、映像化にあたり大きな決断を迫られることになる。テレビ画面の中で描かれる世界を、現実のスピードに合わせて変化させ続けるべきか、それとも特定の時代感に固定すべきかという問いだ。
アニメ化が進行した昭和40年代後半は、日本の生活様式が劇的に洋風化・都市化していった時期にあたる。ここで制作陣は、高度経済成長の情熱と家族の団らんが最も色濃く残る「昭和30年代の生活風景」を基調とすることを決断した。黒電話や平屋、縁側といったアイテムを残すことで、どの世代の視聴者にとっても故郷のように安らげる空間を作り出したのだ。この英断が、アニメーション産業史に残る長寿番組の土台を築くこととなった。