ネット検索で店舗名を調べると、サジェストに「まずい」「臭い」といったネガティブな単語が顔を覗かせることがあります。これらは事実無根の誹謗中傷なのでしょうか。結論から言えば、この評価は本場九州仕込みの超濃厚豚骨が放つ「本物の証」に対する、初訪問者の素直なカルチャーショックに起因しています。
首都圏で広く普及している一般的な豚骨ラーメンは、万人受けを狙って臭みをマスキングし、マイルドに乳化させたライト豚骨が大半を占めます。対して「たまがった」のスープは、巨大な羽釜で豚頭やゲンコツなどの大量の骨を極限まで強火で炊き込み、骨の髄液まで完全に溶かし出す古典的な製法を頑なに貫いています。店外数百メートル先からでも判別できるほどの豚骨独特の匂いは、香料や調味料に頼らない骨太な仕込みが行われている決定的な証左です。
スープを一口啜ると、鼻を抜ける野性的なアロマとは裏腹に、舌の上にはシルクのように滑らかで分厚いコラーゲンの甘みと旨味が広がります。雑味を排した丁寧な血抜きと火加減のコントロールによって、口当たりは重厚でありながら後味に嫌なしつこさが残りません。「匂いで敬遠していたが、口に運んだ瞬間に価値観が崩壊した」という常連客の証言が示す通り、たまがったのまずい・美味しい論争は、豚骨アロマに対する耐性と、純度の高い濃厚スープに対する受容度によって生じる認識のギャップと言えます。