かつて茶人たちが極めた数寄屋造りの意匠が、21世紀の建築言語と衝突したとき、まったく新しいデザイン思想が生まれた。無駄を極限まで削ぎ落としたスクエアな現代建築に、繊細な庇(ひさし)や縦格子を走らせる手法だ。この和モダン建築の再興を決定づけたのは、世界的な建築家・隈研吾氏が牽引した新国立競技場プロジェクト以降の国産木材への再評価と、自然と建築の境界を曖昧にする「負ける建築」の哲学に他ならない。
奇をてらった奇抜なファサードではなく、水平ラインを強調した低い重心のフォルムが現代人の心に響く。軒を低く抑えることで生まれる落ち着きと、深い軒下が作り出す濃密な影。それは欧米由来のモダニズムにはない、日本建築特有の静謐さを都市の住まいに持ち込む試みである。