昔のアニメに登場するアニメ牛乳瓶底メガネキャラクターの描写を思い浮かべると、同心円状の白い渦と、極端に縮んだ瞳が象徴的です。なぜ近視度数が強くなると、このような状態に陥るのでしょうか。その根本原因は、近視を矯正するために用いられる凹レンズ(おうれんず)の光学的性質にあります。
近視は、眼球の奥行き(眼軸長)が伸びるなどして、網膜より手前でピントが合ってしまう屈折異常です。これを補正するため、光を外側に広げてピントを網膜まで後退させる凹レンズを使用します。凹レンズは「中心部が最も薄く、外周(コバ)に向かうほど急激に厚くなる」という幾何学的構造を持っています。度数が進む(-6.00D以上の強度近視や-10.00D以上の最強度近視)ほど、外周部の厚みは加速度的に増し、あたかも厚みのあるガラス瓶の底を切り取ったかのような形状になるのです。
さらに、外見を損なう主な要因は以下の3つの要素が重なり合って生じています。
第一に像の縮小作用です。凹レンズを通して物体を見ると、光の屈折によって対象物が実物より小さく見えます。外から相手のメガネ越しに目元を見た際も同様で、度数が強ければ強いほど目の輪郭が内側に凝縮され、いわゆる「目が小さく見える現象」が発生します。
第二にフェイスラインの段差(輪郭のズレ)です。レンズの外周部が顔の輪郭線と重なると、レンズの内側だけ輪郭が内側にグッと食い込んで見えます。これが顔のプロポーションを歪ませ、不自然な印象を与えてしまいます。
第三にコバの乱反射による白い渦です。分厚く削られたレンズの側面(コバ面)に入射した光が内部全反射を繰り返し、同心円状の白く光る筋として外部から視認されます。これらが組み合わさることで、典型的な牛乳瓶の底メガネが完成してしまうのです。