この異次元の兵器構想は、決して昨今思いつかれた最新のアイディアではない。歴史をさかのぼると、1950年代にアメリカ空軍が中心となって研究を進めた「プロジェクト・トール(Project Thor)」に行き着く。当時は大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術の発展と並行し、軌道上から圧倒的な質量を衝突させるアイデアが真剣に議論されていた。
2000年代初頭には、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドの主導する国防改革構想(ラムズフェルド委員会報告書など)において、軌道上からの「即時地球攻撃(Prompt Global Strike)」構想が再び浮上した。テロ対策やならず者国家の急襲を念頭に、世界中のあらゆる目標を30分以内に精密打撃できる手段として注目を集めたものの、当時の打ち上げコストと誘導技術の限界により、実用化計画は長らく軍の引き出しの奥深くに封印されていた。