神経障害性疼痛の治療は、日本ペインクリニック学会が策定する「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」に準拠して進められます。市販の痛み止めとは全く異なる作用機序を持つ薬剤が主役となります。
1. ガイドライン推奨の第一選択薬(プレガバリン・ミロガバリン・SNRI)
現在、第一選択薬として広く処方されているのが、電位依存性カルシウムチャネルα2δ(アルファ2デルタ)リガンドと呼ばれる薬剤です。代表格であるプレガバリン(商品名:リリカ)や、その後発進化したミロガバリン(商品名:タリージェ)は、過剰に興奮した神経末端からの興奮性神経伝達物質(グルタミン酸など)の過剰放出を強力にブロックし、神経の暴走を鎮めます。
また、脳から脊髄へ痛みの信号を抑え込む「下行性疼痛抑制系」を活性化させるため、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:デュロキセチンなど)も第一選択薬として併用または単独で選択されます。抗うつ薬として開発された成分ですが、慢性疼痛の神経伝達を正常化する作用が実証されています。
2. ペインクリニックによるインターベンショナル治療(神経ブロック)
内服薬だけで痛みがコントロールできない場合や、副作用(眠気、ふらつき)で投薬を増やせない場合、ペインクリニックによる神経ブロック注射が極めて有効な選択肢となります。局所麻酔薬や抗炎症薬を交感神経節や硬膜外腔、末梢神経の周囲に直接注入することで、痛みの電気信号を物理的に遮断します。
神経ブロックの真の目的は一時的な麻痺ではありません。興奮を強制的にリセットして血管を拡張させ、血流を劇的に改善することで、自己治癒力を高めて「痛みの悪循環」を断ち切る点にあります。難治性の症例に対しては、脊髄に微弱な電極を留置して痛みを心地よい刺激に置き換える「脊髄刺激療法(SCS)」など、高度な先端医療も確立されています。