時代を超えて人々の心を掴んで離さない最大の理由は、あらゆる衆生を漏らさず救済するという絶大な慈悲の教えにある。あらゆる生命を救う理念を掲げる大乗仏教において、観音菩薩は人々の苦しみに応じた三十三の姿に変身し、現実的な災難から救い出すとされてきた。
西方極楽浄土を統べる阿弥陀如来の側近として、現世利益と来世の救済の双方を担うその姿勢は、飢饉や戦乱に苦しんだかつての庶民にとって唯一無二の希望だった。無条件の救済を約束する教えは、混迷を極める現代社会においても強力な精神的フックとして機能しており、その凄まじいご利益の伝説は今なお語り継がれている。