「うどんの乾麺には塩分が多すぎるのではないか」という疑問も、健康志向の読者から常に寄せられるテーマです。事実、乾麺の栄養成分表示を見ると、100gあたり3g〜4g前後の食塩相当量が記載されており、これだけを見ると厚生労働省が推奨する成人1日の目標食塩摂取量(男性7.5g未満、女性6.5g未満)の半分近くを麺だけで占めてしまうように見えます。
しかし、ここにこそうどん乾麺塩分と下茹での真相が隠されています。乾麺の製造時に食塩を練り込むのは、味付けのためだけではありません。小麦粉に含まれるグルテンをキュッと引き締めて麺のコシを生み出し、乾燥時のひび割れや腐敗を防ぐという製麺工学上の必須機能があるためです。そして、この塩分の大部分は、沸騰した湯の中で茹でられる間に外へと拡散し、お湯の中に約70%〜80%が溶け出します。
さらに茹で上げた後、流水で表面のぬめりを洗い流す「水締め」の工程を経ることで、最終的に麺に残る塩分は100gあたりわずか0.5g〜0.8g程度まで激減します。つまり、調理工程を正しく踏んでいれば、乾麺そのものの塩分に過度な恐怖を抱く必要はありません。
ただし、ここで絶対に犯してはならない重大なミスがあります。それは、「うどんを茹でたお湯をそのままつゆ(スープ)作りに再利用すること」です。鍋の湯には麺から溶け出した高濃度の塩分と溶出デンプン(ぬめり)が充満しています。この茹で汁を使ってかけつゆを作ってしまうと、塩分過多になるばかりか、つゆの風味が濁り、雑味の強い極めて不快な仕上がりになってしまいます。必ず別鍋で湯を沸かしてつゆを準備するか、麺を湯切りした後に熱湯で再度温め直す手順を徹底してください。