臨床診断において最も重視されるのが、「原発性レイノー病」なのか「続発性レイノー症候群」なのかという鑑別です。医療現場や専門書ではしばしば混同されがちですが、治療方針と生命予後に関わる重大な分岐点となります。
原発性(レイノー病)は、検査を行っても明らかな基礎疾患が見つからないタイプです。10代後半から30代前半の比較的若い女性に多く、両手の指に対称的に症状が現れます。組織の壊死や潰瘍に進展することは極めて稀で、予後は極めて良好とされています。
一方、注意を払うべきは40代以降に初めて発症したケースや、片手あるいは特定の指だけに非対称に症状が出る「続発性レイノー症候群」です。この背景には、自己免疫の異常によって全身の血管や組織に炎症が生じる自己免疫疾患(膠原病)や、振動工具の使用による末梢神経・血管障害(振動病)、特定の動脈硬化性疾患が隠れている割合が高くなります。
レイノー現象を伴う代表的な基礎疾患
厚生労働省の難病情報センター等の報告によると、以下の疾患においてレイノー現象が極めて高い確率で初発症状として観察されます。
- 全身性強皮症(SSc):患者の95%以上にレイノー現象が出現。手の甲や指の皮膚硬化、ソーセージ様の腫脹(浮腫期)が先行することが多い。
- 混合性結合組織病(MCTD):患者の90%以上に出現。強皮症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎の症状が混在する。
- 全身性エリテマトーデス(SLE):約20〜30%に出現。蝶形紅斑や関節炎、原因不明の発熱を伴う。
- シェーグレン症候群:約30%に出現。ドライアイやドライマウス(口腔乾燥)を主徴とする。