会津若松の味噌田楽が旅行者の心を掴んで離さない最大の理由は、視覚・聴覚・嗅覚を総動員する「囲炉裏炭火焼き」のライブ感にあります。注文が入ると、赤く熾きた木炭が敷き詰められた灰床に、扇型や平串に刺された具材が手際よく立てかけられます。遠赤外線でじっくり芯まで温められたところで、具材に合わせて調合された味噌だれが刷毛でたっぷりと塗られ、炭火の強火で一気に焦げ目をつけられます。ジュワッと泡立つ味噌の音と立ち上る芳香は、どんな調味料の解説よりも雄弁に食欲を刺激します。
さらに特筆すべきは、甘辛い味噌一辺倒ではない「計算され尽くした味覚のレイヤード(重層性)」です。会津の田楽では、こんにゃくには爽やかな柚子味噌、淡白な生揚げには香ばしいじゅうねん(エゴマ)味噌、そして脂の乗った身欠きにしんにはピリリと引き締まる山椒味噌といったように、食材のポテンシャルを極限まで引き出すためのルールが確立されています。この精緻な味の掛け合わせこそが、飽きることなく何本でも食べ進められる中毒性を生み出しています。