近代日本の統治機構に致命的な打撃を与えた政治疑獄・汚職事件として名高いこの騒動だが、近年の外交文書開示や未公開の海軍内部資料の精査によって、新たな事実が次々と浮き彫りになっている。単なる個人の金銭欲ではなく、当時の国際武器市場における欧米列強の苛烈な受注競争と、日本側の構造的な予算不足が不正の温床となっていた実態だ。
国内外の最新アーカイブ研究では、軍の査問委員会がいかに身内を庇い立てし、真相の幕引きを図ろうとしたのかを示す克明なメモも見つかっている。巨大な権力機構がいかに自浄作用を失い、外部からの批判を封殺しようとしたのか。現代の安全保障やガバナンスの議論とも地続きの課題が、そこには刻まれている。