ゲーム開発やメタバース空間で用いられる3Dグラフィックスの世界では、肌色は「表面に塗る画像」ではなく、「光との物理現象」として計算される。近年のグラフィックエンジン(Unreal Engine 6や最新のBlenderシェーダーなど)において不可欠なのが、サブサーフェス・スキャッタリング(SSS:下層散乱)の設定だ。
人間の肌に光が当たると、光の一部は表面で反射するが、残りは皮膚の内部に侵入し、微小な血管や細胞の中で散乱してから外に出てくる。耳の後ろから強い光が当たったとき、耳全体が赤く透けて見えるのがこの現象だ。
3DCGクリエイターは、表面のテクスチャ(ディフューズマップ)だけでなく、内部でどれだけ赤やオレンジの光が拡散するかを指定する「SSSカラー」を綿密に設計する。表面のカラーと内部の散乱カラーの二重構造を作ることで、不気味の谷を乗り越えた、息づかいまで聞こえそうな3Dキャラクターが生み出される。