療育現場や自閉症当事者の手記、SNSコミュニティでの告白を検証すると、エコラリアに対する当事者側の内的世界が浮き彫りになります。
あるASD当事者は自著の中で次のように述べています。「周りの音が頭の中で濁流のように渦巻き、不安で押しつぶされそうな時、お気に入りのアニメのセリフを正確に口ずさむことだけが、自分の心の輪郭を保つアンカー(錨)になっていた」。
また、成人の発達障害当事者(大人)においても、極度の疲労時やパニック寸前の場面で、無意識に独り言としてエコラリア的な反復発声が出現する事例が報告されています。これは言語の未熟さではなく、過剰な感覚負荷に対する自律神経系の防御反応であることがわかります。
育児現場の母親・父親の証言からは、「エコラリアが始まった当初は絶望感があったが、療育を通じて『この子は言葉を丸ごとストックしている最中なのだ』と理解できてから、返答の工夫ができるようになり親子の対話が成立し始めた」という変化が数多く報告されています。