表向きには「飲食街の同業組合」という形態をとりながら、信太山新開地協同組合はエリア全体の生殺与奪を握る強固な自治機能を備えています。関西に現存するいわゆる「新地」と呼ばれるエリア(飛田、松島、今里、滝井など)と同様に、風俗営業法ではなく食品衛生法に基づく「料亭街」としての体裁を維持するための防波堤となっているのが最大の役割です。
組合の具体的な業務は多岐にわたります。各店舗の営業許可に関する指導、衛生基準の巡回確認、さらには店舗間の過度な客引きや価格破壊を防ぐための統一料金の設定と監視です。店舗間のトラブル防止だけでなく、外部からの反社会的勢力の排除や所轄警察署との窓口機能も一手に引き受けています。組合の統制力が弱まれば、即座に不法営業や無秩序化を招き、行政処分や摘発に直結するため、内部規律は極めて厳格に敷かれています。
また、店舗スタッフや仲介役(いわゆる「おばちゃん」)の雇用・教育指針の共有、街区の街灯維持や清掃活動といったインフラ管理も組合費によって賄われており、まさにひとつの「独立した街の自治政府」として機能しているのが運営実態です。