冷やし中華発祥の真相|仙台「龍亭」と神田「揚子江菜館」の謎

冷やし中華発祥の真相|仙台「龍亭」と神田「揚子江菜館」の謎

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昭和初期、日本の中華料理店は毎年夏になると深刻な経営危機に陥っていた。当時の厨房や客席には当然エアコンなど存在しない。油を多用し、熱いスープを提供する中華料理は、湿度の高い日本の夏には敬遠され、客足が極端に落ち込んだ。

この危機的状況を打開すべく立ち上がったのが、仙台市の中華料理店組合の有志であり、「中国料理 龍亭」の創業者である四倉義雄だった。四倉は組合の仲間たちとともに、夏でも客が喉を通しやすい新しい麺料理の開発に着手した。

彼らが着目したのは、中国伝統の家庭料理である涼拌麺だった。しかし、本場のそれは茹でた麺にタレと具を和えるだけのぬるい料理であり、日本人の夏の嗜好には合わない。四倉らは麺を氷水でしっかりと締め、醤油、酢、ごま油、砂糖を絶妙な比率で配合した冷たいスープを考案した。具材には熱を冷ます効果があるとされるキュウリやトマト、栄養価の高いチャーシューを採用。試行錯誤の末に完成した一杯は、夏の仙台で爆発的な支持を獲得することとなった。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。