ネット上の情報では「黒い点=メラノーマか血腫」という二者択一で語られがちですが、実際の臨床ではそれ以外の病態も見落とせません。
代表的な盲点が爪水虫(爪白癬)に伴う黒変です。白癬菌が爪の角質を侵食すると爪が白く濁ったり分厚くなったりしますが、菌の繁殖によって爪が脆弱になり、内部で微小な出血を繰り返して黒い点のように見えるケースがあります。また、カビの一種である黒色真菌が混入して爪が黒く変色することもあります。この場合、爪切りで削った角質を顕微鏡で調べる直接鏡検を行わなければ正確な診断は下せません。
もう一つの典型例が足の爪の黒い線とほくろ(爪甲色素線条)の関係です。爪母にあるメラノサイトが刺激されて過剰にメラニン色素を産生すると、爪にまっすぐな黒い筋が入ります。子どもの爪にできる黒い線のほとんどは良性のほくろですが、成人以降(特に40代以降)に突如として一本の黒い線が現れ、その幅が3mm以上、さらには6mm以上に拡大してきた場合は、メラノーマ初期の危険信号とみなされます。