90年代のメンズノンノがなぜこれほどまでに特別な熱量を持ち、現在も語り継がれるのか。その背景には、当時の出版界の制作システムと、渋谷・原宿で起きていたストリートファッションの地殻変動があります。
公式発表資料やWikipedia等の記録にもある通り、集英社が主催するメンズノンノモデルオーディション歴代グランプリ獲得者には、「1年間の誌面専属契約」が義務付けられていました。契約期間中は他誌への出演が原則として固く禁じられており、この独占性がモデル一人ひとりの希少価値を極限まで高めていたのです。
さらに90年代中盤からは、90年代裏原宿ストリートファッションの潮流が誌面を急襲します。藤原ヒロシ氏をはじめとするクリエイター陣が牽引した「GOODENOUGH」「A BATHING APE」「UNDERCOVER」などのプレミアムなドメスティックブランドが、従来のインポートブランド中心だった誌面構成を書き換えました。
リアルな読者コミュニティ(当時の熱心な愛読者やカルチャー誌関係者)の証言を検証すると、「当時のメンノンは単なる通販カタログではなく、原宿の路地裏カルチャーとモードの最先端を結ぶバイブルだった」「モデルたち自身がストリートの現場に立ち、クラブカルチャーの空気感を纏っていた」という声が多数を占めます。誌面をめくる若者たちは、単に洋服を見るだけでなく、モデルたちのライフスタイルや佇まいそのものに熱狂していたのです。