映画『二十歳のソウル』の根底に流れるのは、決して作られたフィクションではありません。スクリーンに映し出されるすべての叫び、音色、涙は、実在の青年・浅野大義(あさの たいぎ)さんが遺した真実の軌跡です。
千葉県の名門として知られる市立船橋高校吹奏楽部でトロンボーンを担当していた大義さんは、誰からも愛される明るい人柄と卓越した音楽センスを備えた高校生でした。「自分たちだけのオリジナル応援曲で野球部を甲子園へ連れて行きたい」という熱い願いから生まれたのが、吹奏楽界で伝説と呼ばれる応援曲「市船soul」です。
誕生の瞬間はまさに電撃的でした。顧問の高橋健一先生から「新しい応援曲を作ってみないか」と打診された大義さんは、ピアノの前に座るや否や、わずか10分足らずで力強く躍動感あふれる主旋律を弾き下ろしたと伝えられています。哀愁を帯びながらも闘志を奮い立たせるその旋律は、試合で演奏されると驚異的な確率で得点につながることから、いつしか「魔曲」や「神曲」と呼ばれるようになりました。