犯行グループが警察や企業への現金受け渡し指示に用いたテープには、少なくとも3人の異なる子供の声が録音されていた。男児の機械的な指示、女児のあどけない呟き。大人の指示に従い、紙に書かれた原稿をそのまま棒読みさせられたかのような声の響きには、無邪気さゆえの恐ろしい冷酷さが漂っていた。
なぜ犯人は身内の子供、あるいは身近な幼子を脅迫テープに利用したのか。警察の音声分析を撹乱するためか、それとも受取現場での身元発覚を恐れたためか。意図はどうあれ、言葉の意味すら理解していない幼い声が「京都へ向かって走れ」と命じるテープの音響は、当時の茶の間に戦慄をもたらした。