政界を完全に引退し、私生活を守り抜く娘たちの「現在」に迫ると、そこには名門の重圧から完全に解き放たれた等身大の暮らしがある。長女をはじめとする娘たちはすでに家庭を持ち、自らの足で確固たる生活基盤を築いている。地域社会や知人関係においても「田中角栄の孫」であることを誇示することは一切なく、ごく普通の市民として穏やかな日々を重ねている。
角栄一族の後継者問題については、血縁による世襲政治が終焉を迎えたことを意味しているが、これは一族にとって決して敗北ではない。政治という過酷な宿命から解放され、それぞれの幸福を追求することこそが、母・真紀子が娘たちに望んだ最大の願いだった。家族内の風通しは極めて良く、週末や節目には顔を合わせ、孫を囲んで談笑する姿は、かつて権力の頂点を極めた一族の新たな到達点と言える。