すべての団塊世代が後期高齢者となった現在の2026年、日本社会はお題目の「2026年問題」を終え、日常的な制度維持の実働フェーズへと突入しています。注目すべきは医療費の自己負担割合と「大相続時代」の不動産処分です。
一定以上の年間所得(単身世帯で年金等収入166万円以上、年金収入+その他の合計所得金額200万円以上)がある高齢者に対し、後期高齢者医療制度の窓口自己負担が2割に引き上げられて以降、受診控えや処方薬の長期処方化が進んでいます。現役世代への保険料負担の転嫁を抑えるため、政府は金融資産保有額に応じた負担増の議論を前進させています。
同時に、70代後半から80代へと差し掛かる団塊世代の持ち家が、地方都市や大都市近郊のベッドタウンで相次いで「空き家予備軍」となっています。親の認知症発症による資産凍結の回避、家族信託や任意後見契約の締結、さらには遺言書の作成といった終活の実効性が、かつてない現実味をもって問われています。
【プロの結論】「大相続時代」に家族と社会が構築すべき健全なバウンダリー
社会学および心理学の観点から見ると、団塊親世代と団塊ジュニア子世代の間には、心理的バウンダリー(境界線)の曖昧さが目立ちます。高度成長期の「一家まる抱え」の家族主義を引きずったまま互いに甘え合い、親の介護や認知症の進行といった突発的イベントで共倒れになるケースが後を絶ちません。
家族だからといって全てを抱え込むのではなく、介護保険サービスや成年後見制度などの公的インフラを冷徹なまでに活用し、「親の人生の責任」と「子の人生の責任」をはっきりと切り離す姿勢が必要です。親世代は自らの築いた資産を子ども世代の負債(売れない負動産・過大な相続税)にしないよう客観的な出口戦略を立て、子世代は早めに実家の権利関係や親の意向を直視することが、今最も求められる防衛策です。