ロッテのクラブハウスで、荻野の存在は特別な意味を持っていた。誰よりも早く球場に入り、入念なストレッチとトレーニングを欠かさない。試合後もアイシングと体のケアに何時間も費やす。その妥協なきルーティンこそが、若手選手たちにとって最高の教科書だった。
後輩がミスをしても、大声で叱責することは滅多にない。代わりに、次の日の早朝練習で隣に立ち、黙々とバットを振る。言葉ではなく姿勢で示すリーダーシップ。藤原恭大や和田康士朗ら、後を追う俊足外野手たちが「荻野さんの背中を見て育った」と口を揃える理由は、まさにそのストイックな日常にあった。